会議中にメモをとっていると、話についていけなくなる。会議が終わってから議事録をまとめるのに、会議と同じくらい時間がかかる。そんな悩みを持つ人は少なくありません。
議事録は、会議中に全部打ちきるものではなくなってきました。録音を AI に文字起こししてもらい、人は「直す」と「まとめる」に集中するという作り方ができます。
たとえば Microsoft Teams・Google Meet・Zoom には、会議の文字起こし機能があります(使えるプランや設定に条件があります。くわしくは下で説明します)。ただし、AI の文字起こしには聞き間違いがあります。最後は人の目と手で直すことが前提です。
議事録を AI で作る流れは?「録る→起こす→まとめる→直す」
AI を使った議事録づくりは、次の6つの手順で進みます。
- 録音の同意をとる:社内のルールを確認し、参加者に「録音して文字起こしします」と伝える
- 録音する:対面の会議はレコーダーやスマホ、Web 会議は会議ツールの記録機能を使う
- 文字起こしする:AI が音声を文字にする
- 要約する:長い文字起こしから、決まったことや宿題を抜き出す
- 人が直す:固有名詞・数字・決定事項を、録音を聞き直して確かめる
- 共有する:直した議事録を参加者に送る
AI が受け持つのは 3 と 4 です。1・2・5・6 は人の仕事として残ります。とくに 5 を飛ばすと、まちがった議事録が残ってしまいます。研究員は、AI の文字起こしは「議事録の下書き」で、完成品ではないと考えています。
録音する前に、何を確かめればいい?
いちばん先にやることは、AI の道具を選ぶことではありません。録音してよいかを確かめることです。
社内のルールを確認する
会社によっては、会議の録音や、社外のサービスに音声をアップロードすることにルールがあります。使ってよいツールが決まっている会社もあります。まずは上司や情報システムの担当者に、次のことを確認しましょう。
- 会議を録音してよいか
- 録音した音声や文字起こしを、どこに保存してよいか
- 社外の文字起こしサービスや生成 AI に、会議の内容を入れてよいか
参加者に伝えてから録音する
社内のルールで問題がなくても、録音は参加者に伝えてから始めます。会議の最初に「議事録のために録音して、AI で文字起こしします」とひと言伝えるだけでも、受け取り方は大きく変わります。社外の人が参加する会議では、とくに先に伝えておきましょう。
Teams や Google Meet の文字起こし機能では、文字起こしが始まると参加者の画面にも表示されます(下の公式ヘルプのリンクを参照)。それでも、ツールの表示だけにまかせず、口で伝えておくと安心です。
議事録の AI 文字起こしは、どうやって進める?
手順1の「録音の同意をとる」は、前の章のとおりです。ここからは手順2〜6を順に見ていきます。
手順2:録音する(対面の会議)
会議室での対面の会議なら、スマホの録音アプリや、AI ボイスレコーダーで録音します。机のまん中に置いて、話す人から遠くなりすぎないようにします。
手順2:記録をオンにする(Web 会議)
Web 会議なら、会議ツールの文字起こし機能や記録機能を使えます。録音した音声ファイルを、あとから文字起こしサービスやソフトに読み込ませる方法もあります。
手順3:文字起こしする
AI が音声を文字にします。Web 会議の文字起こし機能なら、会議の終了後にテキストが保存されます。音声ファイルから起こす場合は、サービスやソフトにファイルを読み込ませます。
手順4:要約する
文字起こしは、話したことがそのまま並んだ長い文章です。議事録として読める形にするには、「決まったこと」「宿題(だれが・いつまでに)」「次回までに確認すること」を抜き出します。
文字起こしサービスや AI ボイスレコーダーには、AI の要約機能がついているものがあります。ほかの生成 AI に文字起こしを入れて要約させる場合は、前の章の「社外のサービスに入れてよいか」の確認を先にすませておきましょう。
手順5:人が直す
ここがいちばん大事な手順です。AI の文字起こしと要約で、とくにまちがいやすいのは次の4つです。
- 固有名詞:人の名前、会社名、商品名、社内だけで使う言葉
- 数字:金額、日付、個数、パーセント
- 決定事項:「決まった」のか「検討する」のか
- 担当と期限:だれが、いつまでにやるのか
研究員は、この4つは録音を聞き直して確かめるのが安全だと考えています。AI の要約は、話の流れから「それらしい文章」を作ることがあります。会議で言っていないことが要約に入っていないかも、見ておきましょう。
手順6:共有する
直した議事録を参加者に送ります。Google ドキュメントなどで共有すると、参加者が自分の発言をあとから直すこともできます。Google ドキュメントの使い方は「Googleドキュメントの効率化5ステップ」で紹介しています。
議事録の文字起こしに使える道具は?4つの種類
※ここに書いた料金・機能は、2026年10月11日に各社の公式サイトで確認したものです。料金やプランは変わることがあるので、使う前に公式サイトで確かめてください。
1. Web 会議の文字起こし機能(Teams・Google Meet・Zoom)
ふだん使っている Web 会議のツールに、文字起こしの機能があることがあります。会社で契約しているツールなら、追加のお金をかけずに試せる場合があります。
- Microsoft Teams:会議中に「その他のアクション」→「レコーディングと文字起こし」→「文字起こしの開始」で始めます。文字起こしが行われていることは、参加者全員に通知されます。会議のあとは、開催者と共同開催者が .docx または .vtt の形でダウンロードできます(Microsoft の公式サポート)。ゲストとして参加している場合などは自分で始められないことがあり、そのときは開催者側の参加者に頼みます。
- Google Meet:使えるのは、Business Standard・Business Plus・Enterprise などの決まった Google Workspace のエディションです。対応言語に日本語があり、文字起こしは主催者の Google ドライブの「Google Meet」フォルダに保存されます。文字起こし中は、参加者全員の画面にアイコンが表示されます(Google Meet ヘルプ)。公式ヘルプの対象の一覧に、無料の個人アカウントは入っていません。
- Zoom:クラウドレコーディングの音声文字起こしを使うには、Pro・Business・Education・Enterprise のアカウントで、クラウドレコーディングと音声文字起こしを有効にしておく必要があります。対応言語の一覧に日本語も載っています(Zoom サポート)。
メニューが見当たらないときは、会社の契約や管理者の設定で止められていることがあります。社内の担当者に聞いてみましょう。
2. クラウドの文字起こしサービス(Notta など)
Web ブラウザやスマホのアプリで使う、文字起こし専用のサービスです。音声ファイルを読み込ませたり、Web 会議の文字起こしに使ったりできます。音声はインターネットを通してサービスに送られます。
たとえば Notta の公式サイトでは、次のように案内されています(2026年10月時点、表示はすべて税込)。
- フリープラン(0円):文字起こしは月120分まで。ただし1回につき3分まで。AI 要約は月10回まで
- プレミアムプラン:年間プランで月1,185円(12か月分一括 14,220円)。Web 版から3日間の無料トライアルを申し込める。トライアルのあとは年間プランで自動更新され、72時間以内に解約すれば請求は発生しない
- Web 会議の文字起こしは、フリープランでも Zoom・Google Meet・Microsoft Teams などに対応
フリープランは1回3分までなので、会議をまるごと起こすには足りません。「AI の文字起こしがどのくらい正確か」を短い録音で確かめる使い方が向いています。無料トライアルを使う場合は、自動更新の日付を先にメモしておきましょう。
3. パソコンの中で処理するソフト(RecText AI 2)
「会議の音声を社外のサービスに出したくない」ときに候補になるのが、パソコンの中で文字起こしするソフトです。
ソースネクストの RecText AI 2 は、公式サイトで次のように案内されています(2026年10月時点)。
- 文字起こしはオフラインで行える(使い始めの認証・製品登録・アップデートにはインターネット接続が必要)
- 録音・録画のデータと文字起こしの結果は、パソコンの中のフォルダに保存される
- 録音とパソコン画面の録画ができ、mp4・wmv・wav・mp3・m4a のファイルも読み込める
- 話者分離に対応(使う場合はメモリ16GB以上を推奨)
- 再生しながら直せる(0.5〜2倍速、10秒送り・戻し)
- 対応 OS は Windows 11/10(64ビット版)。Mac には対応していない
- 9,980円(税込)の買い切り。1ライセンスでパソコン3台まで(法人ライセンスは1台)
要約の機能はついていません。公式サイトでは、文字起こしの結果を生成 AI に渡して要約させる使い方が紹介されています。その場合は、社内のルールで生成 AI に入れてよいかを確かめてからにしましょう。
4. AI ボイスレコーダー(PLAUD など)
録音専用の小さな機械で、録音した音声をスマホのアプリに送り、文字起こしと要約をします。対面の会議が多い人に向いています。
PLAUD の公式サイトでは、次のように案内されています(2026年10月時点)。
- 本体の価格(税込):Plaud Note 27,500円、Plaud Note Pro 30,800円、Plaud NotePin 27,500円、Plaud NotePin S 28,600円
- 無料の Starter プランで、毎月300分の文字起こしが使える
- 録音データはスマホの Plaud アプリに送られると、本体からは削除される。データは処理のためにクラウドへ送られる(信頼性と安全性について)
- お客さまのデータは、初期設定では AI の学習に使われない(使うには本人の同意が必要)
クラウドで処理するので、社外のサービスに音声を預けてよいかは、Notta と同じように社内で確認が必要です。AI ボイスレコーダーのくわしい選び方は「AI ボイスレコーダーとは?選び方」で紹介しています。
PLAUD(AI ボイスレコーダー)PLAUD公式サイトで見る![]()
議事録の AI はどれを選べばいい?3つの質問で決める
道具が多くて迷ったら、次の3つの質問に順番に答えてみてください。
質問1:無料で試せるか
まずは、お金をかけずに試せるものから始めます。
- 会社の Teams・Google Meet・Zoom に文字起こし機能があれば、それがいちばん手軽です
- 自分で試すなら、Notta のフリープラン(1回3分まで)で短い録音を起こしてみる
- 会議をまるごと試したいなら、Notta プレミアムの3日間の無料トライアル(自動更新に注意)
質問2:音声をパソコンの外に出してよいか
社外のサービスに会議の音声を送ってよいかで、選べる道具が変わります。
| 道具 | 音声の行き先 | 向いている人 |
|---|---|---|
| Web 会議の文字起こし機能 | 会社が契約している会議ツールの中 | 会社で使っているツールがある人 |
| Notta などのクラウドの文字起こし | インターネット上のサービス | 社外のサービスを使ってよい人 |
| RecText AI 2 | パソコンの中(オフラインで文字起こし) | 音声を外に出したくない Windows の人 |
| PLAUD などの AI ボイスレコーダー | スマホのアプリを通してクラウド | 社外のサービスを使ってよく、対面の会議が多い人 |
質問3:対面の会議か、Web 会議か
- Web 会議が多い:まずは会議ツールの文字起こし機能。使えなければ、クラウドの文字起こしサービス
- 対面の会議が多い:AI ボイスレコーダーか、スマホやパソコンで録音してから文字起こし
- 両方ある:録音した音声ファイルを読み込めるもの(クラウドのサービス、または RecText AI 2)
AI の文字起こしは、そのまま信じていい?
直すのは、結局キーボード
小さな声や早口、何人かが同時に話すところ、社内だけで使う言葉は、人が聞いても聞き取りにくいものです。研究員は、こうした部分は AI の文字起こしでも見直しが要ると考えています。録音を聞きながら直す作業は、AI 議事録でいちばん手間のかかるところになりがちです。
この直す作業は、ほとんどがキーボードです。人の名前を打ち直す、数字を書き換える、決定事項を箇条書きに整える。どれも声ではやりにくく、キーボードのほうが確実です。同じ聞き間違いが何度も出てくるときは、Ctrl+F(Mac は command+F)の検索で探すと見落としを減らせます。よく使うショートカットは「ショートカットキー一覧」にまとめています。
手元を見ずに打てると、直すのが速くなる
録音を聞きながら直すときは、目は画面の文字起こしを追っています。手元のキーボードを見るたびに、どこまで直したかを見失いがちです。手元を見ずに打てると、目を画面に置いたまま直していけます。
研究員は44歳からタッチタイピングの練習を始め、約3か月でひととおり打てるようになりました。手元を見るクセが抜けるまでには約半年かかっています。手元を見ずに打つ練習のしかたは「キーボードを見ないで打つには?」で紹介しています。
「下書きは声や AI、直すのはキーボード」という使い分けは、議事録だけの話ではありません。メールや資料づくりでの使い分けは「音声入力とタイピングの使い分け」、自分の声で文章を入力する方法は「パソコンの音声入力のやり方」と「スマホの音声入力のやり方とコツ」で紹介しています。仕事でタイピングがどう役立つかは「ビジネスでタイピングスキルが重要な理由」もどうぞ。
議事録の AI 文字起こしについてよくある質問
1. 議事録の文字起こしは無料でできますか?
会社で契約している Teams・Google Meet・Zoom に文字起こし機能があれば、追加のお金なしで使える場合があります。Notta にはフリープランがありますが、1回3分までです(2026年10月時点)。
2. 会議を録音するときに気をつけることは?
まず社内のルールを確認し、録音してよいか、どこに保存してよいかを確かめます。そのうえで、会議の最初に参加者へ「録音して文字起こしします」と伝えてから始めましょう。
3. AI の文字起こしは、そのまま議事録にしてもいいですか?
おすすめしません。固有名詞・数字・決定事項・担当と期限は、録音を聞き直して人が確かめましょう。AI の要約に、会議で言っていないことが入っていないかも確認します。
4. 会議の音声を社外のサービスに出したくないときは?
Windows のパソコンなら、オフラインで文字起こしできる RecText AI 2 のようなソフトがあります。会社の会議ツールの文字起こし機能が使えるなら、それも候補です。
まとめ
- 議事録は「録音の同意→録音→文字起こし→要約→人が直す→共有」の流れで作る
- 録音の前に、社内のルールを確認し、参加者に伝える
- 道具は、Web 会議の文字起こし機能・クラウドの文字起こし(Notta など)・パソコンの中で処理するソフト(RecText AI 2)・AI ボイスレコーダー(PLAUD など)の4種類
- 選ぶときは「無料で試せるか」「音声を外に出してよいか」「対面か Web 会議か」を考える
- AI の文字起こしは下書き。固有名詞・数字・決定事項は、人がキーボードで直す
次の会議で、参加者に伝えたうえで、無料で試せる文字起こしを1回使ってみてください。会社の会議ツールの文字起こし機能か、Notta のフリープランで十分です。AI がどこをまちがえるのかが分かると、自分が直すべきところも見えてきます。