「キーボードを見ないで打てるようになりたい」「練習しているのに、気づくと手元を見ている」。そんな悩みを持つ人は、とても多いです。キーボードを見ずに打つことを「タッチタイピング」といい、以前は「ブラインドタッチ」とも呼ばれていました。
44歳でタッチタイピングの練習を始めた研究員も、最初は手元を見ないと1文字も打てませんでした。練習を続けて約3か月でひととおり打てるようになり、手元を見るクセが抜けるまでには約半年かかっています。この記事では、その経験をもとに、つい手元を見てしまう原因と、見ないで打てるようになるための5段階の練習、そしてどうしても見てしまうときの対策を紹介します。
なぜキーボードを見てしまうのか?3つの原因
手元を見てしまうのは、気合いが足りないからではありません。多くの場合、次の3つが原因です。
1. キーの位置を指が覚えていない
いちばんの原因は、どこにどのキーがあるのかを、まだ指が覚えていないことです。目で見れば打てるので、つい見てしまいます。ところが、見て打つ限り、指はいつまでも位置を覚えてくれません。
2. 指を置く「定位置」が決まっていない
打ったあとに指がどこに戻るのかが決まっていないと、毎回、手元を見て位置を確かめることになります。指の定位置である「ホームポジション」が決まっていれば、そこを基準にキーの場所がわかるようになります。
3. ミスをするのが不安
「間違えたらどうしよう」という気持ちも、手元を見てしまう原因です。仕事中に急いで打たなければいけない場面では、なおさら見たくなります。練習のときは、間違えてもいいから見ないと決めることが大切です。
キーボードを見ないで打つための準備
練習を始める前に、次の3つを用意しておきましょう。
ホームポジションを覚える
キーボードの「F」と「J」のキーには、小さな突起があります。ここに左右の人差し指を置き、残りの指を横に並べるのがホームポジションです。左手は「A・S・D・F」、右手は「J・K・L・;」に指が乗ります。
この突起のおかげで、手元を見なくても指の位置を確かめられます。くわしい置き方は「ホームポジションとは?正しい指の置き方と練習法」で解説しています。
配列表を「画面の横」に貼る
キーの場所がわからなくなったときに見るための、キーボードの配列表を用意します。ポイントは、手元ではなく、モニターの横に貼ることです。目線が画面の近くにあれば、手元を見るクセがつきません。
研究員も、壁に貼った配列表を見ながら、指でキーの位置を覚えるようにひたすら練習しました。当サイトでは、指の担当を色分けした「キーボード配列表」を無料で配布しています。
1日の練習時間を決める
見ないで打つ練習は、最初はとても疲れます。長時間がんばるより、1日10分でも毎日続けるほうが身につきます。研究員は、毎朝約10分と寝る前に練習する時間を作り、約3か月でひととおり打てるようになりました。
キーボードを見ないで打てるようになる5段階
いきなり文章を見ないで打とうとすると、ほとんど打てずに嫌になってしまいます。次の5段階で、「見ないでできた」を少しずつ増やしていきましょう。

段階1:目を閉じて F と J を探す
まずは、目を閉じたまま F と J の突起を指で探し、ホームポジションに指を置く練習です。手をひざに置いてから、目を閉じてキーボードに戻す、を何度かくり返します。これができると、「迷ったら F と J に戻ればいい」という安心感が生まれます。
段階2:母音(A・I・U・E・O)を打つ
ローマ字入力では、ほとんどのひらがなに母音を使います。「あいうえお」と声に出しながら、A・I・U・E・O を見ないで打ちましょう。母音のキーの位置と担当する指は、「キーボード配列の覚え方」で図にしています。
段階3:段ごとに打つ
まん中の段(ホームポジションの段)→上の段→下の段の順に、1つの段を見ないで打てるようにします。わからなくなったら、手元ではなく画面の横の配列表を見ます。
段階4:短い言葉を打つ
「あさ」「いぬ」「さくら」のような短い言葉を、ゆっくり正確に打ちます。速さは気にしなくて大丈夫です。見ないで打てた言葉が増えていくのを楽しみましょう。
段階2〜4には、当サイトの「無料のタイピング練習ゲーム」が使えます。次に押すキーと使う指を色で案内してくれるので、手元を見ずに練習できます。
段階5:文章を打つ
最後は、日記やメールなど、自分の言葉で文章を打ちます。練習用の文章より、ふだん自分が使う言葉のほうが、実際の仕事や生活ですぐに役立ちます。
どうしても手元を見てしまうときの対策
練習を続けても、つい手元を見てしまう。そんなときは、見ても意味がない状態を作ってしまうのがいちばんです。

布やタオルで手元を隠す
いちばん手軽なのは、手元に布やタオルをかけて見えなくする方法です。道具がいらないので、今日からすぐに試せます。ただ、布が手に当たって打ちにくいと感じることもあります。
キーにシールを貼る
キーの文字の上にシールを貼って隠す方法もあります。研究員も試しましたが、1枚ずつ貼るのが面倒で、白いシールは手の脂ですぐに黒ずんでしまいました。シールを使うなら、汚れが目立たない黒いものがおすすめです。くわしくは「キーボードの印字を消す方法5選」で紹介しています。
無刻印キーボードを使う
研究員が最終的にたどり着いたのが、最初からキーに文字がない「無刻印キーボード」です。見ても何も書いていないので、自然と画面を見て打つようになります。研究員は、タッチタイピングができるようになってからも、手元を見るクセが完全に抜けるまでしばらく使い続けました。
研究所では、いきなりすべての文字を消すのはハードルが高いため、ローマ字のキーだけ印字をなくした「半無刻印キーボード」を作りました。無刻印キーボードを使った練習法は「無刻印キーボードとは?」で解説しています。
「見て打つほうが速い」は本当?
「手元を見て打っても、けっこう速く打てる」という人もいます。たしかに、慣れた自己流のほうが、練習を始めたばかりのタッチタイピングより速いことはよくあります。
ただ、手元を見て打つと、画面と手元を何度も行き来するので、目が疲れやすく、打ち間違いに気づくのも遅れます。見ないで打てるようになれば、画面から目を離さずに済むので、ミスにすぐ気づけて、長い文章も楽に打てるようになります。練習を始めてしばらくは遅くなりますが、そこを越えると、自己流のときより楽に打てるようになります。
キーボードを見ないで打つことについてよくある質問
1. キーボードを見ないで打つことを何と言いますか?
「タッチタイピング」といいます。以前は「ブラインドタッチ」とも呼ばれていました。くわしくは「タッチタイピングとは?」をご覧ください。
2. 見ないで打てるようになるまで、どのくらいかかりますか?
人によって大きく違います。研究員の場合は、毎日練習を続けて約3か月でひととおり打てるようになり、手元を見るクセが完全に抜けるまでは約半年かかりました。
3. 練習中にキーの場所がわからなくなったら、見てもいいですか?
手元は見ずに、画面の横に貼った配列表を見るようにしましょう。手元を見ると、指ではなく目で探すクセが残ってしまいます。
4. 数字や記号も見ないで打つべきですか?
最初はひらがな(ローマ字)を見ないで打てるようになることを優先しましょう。数字や記号は、それができてからで大丈夫です。
5. どうしても見てしまいます。どうすればいいですか?
布で手元を隠す、キーにシールを貼る、無刻印キーボードを使うなど、「見ても意味がない」状態を作るのが効果的です。
まとめ
- 手元を見てしまう原因は、キーの位置を指が覚えていない・定位置が決まっていない・ミスが不安、の3つ
- 準備は、ホームポジションを覚える・配列表を画面の横に貼る・毎日の練習時間を決める
- F と J を指で探す→母音→段ごと→短い言葉→文章、の5段階で「見ないでできた」を増やす
- わからなくなったら、手元ではなく画面の横の配列表を見る
- どうしても見てしまうなら、布・シール・無刻印キーボードで「見ても意味がない」状態を作る
キーボードを見ないで打てるようになると、目も肩も楽になり、パソコンに向かうのが少し楽しくなります。研究員も44歳から始めて、打てるようになりました。今日はまず、目を閉じて F と J を探すところから始めてみましょう。
練習の進め方をまとめて知りたい方は、「タッチタイピングの練習方法|初心者は「いうおあえ」から1日10分」もあわせてどうぞ。