「子どもにタイピングを教えたいけれど、自分も手元を見ないと打てない」。そう感じて、声をかけるのをためらっていませんか。

実は、親が先に打てるようになっている必要はありません。研究所の研究員も、タッチタイピングを始めたのは44歳のときです。大人になってからでも身につきますし、親子で同じ初心者として練習するのは、子どもにとっても心強いものです。

親がタイピングできなくても大丈夫?

大丈夫です。子どものタイピング練習で親が手伝えることの多くは、打つ技術ではなく、練習の場づくりです。

  • 毎日の練習の時間をつくる
  • 記録を見て、伸びたところをほめる
  • 疲れていないか、姿勢がくずれていないかを見る

文部科学省の資料でも、家庭での使い方について「家庭等での使用ルールを子供と一緒に作る」など、保護者が関わることの大切さが書かれています(情報活用能力育成のためのアイデア集、令和5年3月)。

そのうえで、親も一緒に練習すると、子どもは「大人もがんばっている」と感じられます。研究員は、ここが親子で練習するいちばんのよさだと考えています。

親子で練習する5つのやり方

1. 同じゲームで、それぞれ自分の記録に挑む

寿司打やポップタイピングなど、同じゲームを親子で遊びます。ただし、比べるのは親と子の点数ではなく、**それぞれの「前回の自分」**です。

「わたしは昨日よりミスが3つ減ったよ」「あなたは5点上がったね」と、おたがいの伸びを伝え合うと、勝ち負けでけんかにならずにすみます。家でゲームを使うときのコツは「寿司打・ポップタイピングを家で遊ぶコツ」にまとめました。

2. 子どもに「先生役」をまかせる

学校で習ったローマ字の打ち方や、ホームポジションを、子どもに教えてもらいます。人に教えると、自分でも覚え直すことになります。

親が「『つ』はどう打つの?」と聞くだけで、子どもは得意な顔で教えてくれるはずです。親がまちがえて打ったときに、子どもが笑って直してくれるのも、親子ならではの時間です。

3. 配列表を2枚印刷して、並んで打つ

パソコンが1台しかなくても、キーボードの配列表を2枚印刷して、それぞれの前に置けば、一緒に指の位置を確かめられます。表を見ながら、「F に左の人さし指」「J に右の人さし指」と声に出して指を置いてみましょう。

手元ではなく表を見る練習は、タッチタイピングの基本です。指の置き方は「ホームポジションの覚え方」で図つきで紹介しています。

4. 練習のルールを一緒に決める

いつ、何分練習するか、終わったら何をするかを、親子で話し合って決めます。親が決めたルールより、自分で決めたルールのほうが、子どもは守ろうとします。

文部科学省の「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」(令和4年3月改訂版)には、30分に1回は20秒以上画面から目を離して休む、寝る1時間前からは端末の使用を控える、といった目安があります。ルールを決めるときの参考にしてください。練習時間の決め方は「子どものタイピング練習は1日何分?」で紹介しています。

5. 記録を並べて貼る

親と子の練習記録を、冷蔵庫などに並べて貼ります。どちらも、点数より「今日も練習した」という印が増えていくことを楽しみにします。

親が疲れて練習を休んだ日に、子どもに「今日やってないよ」と言われることもあるかもしれません。それも、子どもが練習を自分のこととして考えている証拠です。

声のかけ方で気をつけたいこと

研究員が気をつけたいと考えている声のかけ方を、言いかえの例と一緒に紹介します。

言いがちな言葉言いかえの例
「遅いね」「ミスが減ってきたね」
「また手元を見てる」「表を見ながら打ってみようか」
「〇〇ちゃんはもっと速いよ」「昨日より点が上がったね」
「貸して、やってあげる」「最後まで自分で打ってみよう」

速さや他の子との比較ではなく、昨日からの伸びと、正しい打ち方に目を向けると、子どもは練習を続けやすくなります。

親のタイピング練習はどうすればいい?

親も、子どもと同じようにホームポジションから始めれば大丈夫です。大人の場合は、仕事や家事でキーボードを使う機会がある人も多いので、ふだん打つ文章で練習すると身につきやすくなります。

研究員は44歳で練習を始め、約3か月でひととおり打てるようになり、手元を見るクセが抜けるまでに約半年かかりました。大人向けの練習の考え方は「タイピングが遅いのは恥ずかしい?」でも紹介しています。

親子のタイピング練習についてよくある質問

1. 親がタッチタイピングできないと、教えられませんか?

教えられます。親の役目は、練習の時間をつくり、記録を見てほめることです。子どもに先生役をまかせて、親子で一緒に覚えていくやり方もあります。

2. パソコンが1台しかありません。親子で練習できますか?

できます。交代で同じゲームを遊び、それぞれ自分の記録に挑みましょう。配列表を2枚印刷すれば、待っている間も指の位置を確かめられます。

3. 親子で点数を競わせてもいいですか?

点数で勝ち負けを決めると、負けた側が練習をいやになりやすいです。比べるなら、それぞれの「前回の自分」とくらべるのがおすすめです。

4. 子どもが親より速くなったら、どうすればいいですか?

思いきりほめてあげてください。子どもに打ち方のコツを聞いてみると、子どもはもっと練習したくなります。

まとめ

  • 親がタッチタイピングできなくても、親子での練習は始められる
  • 同じゲームで「前回の自分」に挑む、子どもに先生役をまかせる、配列表を2枚貼るなどのやり方がある
  • 練習のルールは親子で一緒に決め、目の休め方や寝る前の使い方も入れておく
  • 声をかけるときは、速さや比較より、昨日からの伸びに目を向ける

まずは「キーボード配列表」を2枚印刷して、親子で並べて置いてみてください。